買い時?おすすめしない?配当金生活を目指してVYMは適切なのかSPYDと比較しながら徹底評価!

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買い時?おすすめしない?配当金生活を目指してVYMは適切なのかSPYDと比較しながら徹底評価!

配当金生活にあこがれて高配当株やJリートにかぎらず近年ではSPYDやVYMなどの米国ETFに投資をしている方も多くなっています。

前回はSPYDについて分析してきました。

→ 配当金生活を目指す上でSPYDへの投資はおすすめしない理由を解説!

 

今回、主に分析していくのは米国の高配当ETFとして名を馳せているVYMです。

VYMについて以下のポイントにしたがってお伝えしていきたいと思います。

 

  • どのようなETFなのか?
  • SPYDとの違いはどのようなところなのか?
  • 配当生活を目指して投資する先としておすすめできるのか?

 

VYMはどのようなETFなのか?

まずはVYMがどのようなETFなのかお伝えしていきます。

運用を担うのはバンガード社

VYMが運用をになっているのはバンガード社です。バンガード社はAUMでブラックロックについで全世界で第2位の資産運用会社です。

バンガード社はAUMで全世界で2位

バンガード社の代表的なETFは以下のものがあります。

VT 全世界の銘柄に一括で投資できるETF。先進国だけでなく新興国を含む世界47カ国の株式に投資。2900銘柄で構成。
VTI 全米の銘柄に一括で投資できるETF。米国の大企業から中小企業まで約4000銘柄に一括投資できる。
VOO S&P500指数に投資できるETF

 

VYMが連動する指数はFTSE High Dividend Yield Index

VYMはETFなのでFTSE High Dividend Yield Indexに連動するように組成されています。

FTSE High Dividend Yield IndexはREITを除く高配当利回り銘柄で構成される株価指数で、時価総額加重平均型の株価指数となっています。

時価総額加重平均指数というのは時価総額に応じて銘柄の組入比率を決定する指数です。

 

時価総額加重平均指数の仕組み

 

FTSE High Dividend Yield Index主なデータは以下となります。(2024年7月末時点)

 

FTSE High Dividend Yield Index VYM
組入銘柄数 551 553
EPS成長率 9.7% 9.7%
PER 18.5倍 18.5倍
PBR 2.6倍 2.6倍
ROE 17.3% 17.3%

 

VYMの構成上位銘柄

2024年7月末時点のVYMの構成上位銘柄は以下となります。

Ticker Holdings % of fund
AVGO Broadcom Inc. 4.42 %
JPM JPMorgan Chase & Co. 3.51 %
XOM Exxon Mobil Corp. 3.13 %
PG Procter & Gamble Co. 2.36 %
JNJ Johnson & Johnson 2.14 %
HD Home Depot Inc. 2.07 %
MRK Merck & Co. Inc. 1.90 %
ABBV AbbVie Inc. 1.84 %
WMT Walmart Inc. 1.78 %
BAC Bank of America Corp. 1.64 %

 

JPモルガン、エクソンモービル、P&G、ジョンソン&ジョンソンと有名な米国企業が上位にひしめいています。

 

VYMのセクター構成比率

VYMのセクター別の構成比率は以下の通りです。安定した高い配当利回りが期待できる金融セクターの組入比率が多くなっています。

再投資を行うために配当利回りが低い傾向にある情報技術セクターの組入比率はやはり低いですね。

 

VYMのセクター別構成比率

セクター 構成比率
不動産 -
金融 20.5%
公益事業 6.8%
生活必需品 11.0%
エネルギー 10.4%
ヘルスケア 11.8%
素材 2.0%
一般消費財・サービス 9.7%
コミュニケーションサービス 4.1%
情報技術 11.1%
資本財 12.6%

 

非常に低い手数料

手数料は年率0.06%という非常に低い水準になっています。

ほとんど手数料はないに等しい水準ですね。同様のファンドの平均的な手数料水準が0.9%であることを考えると手数料の優位性は高いですね。

 

VYMとSPYDを比較

では同じく米国の高配当ETFであるSPYDと比較していきましょう。

連動するインデックスと組み入れセクターの比較

SPYDが連動を目指すのはS&P500高配当指数です。この指数はS&P500指数の中で高配当の約80銘柄を均等に組み入れるインデックスとなっています。

 

The S&P 500 High Dividend Index serves as a benchmark for income seeking equity investors. The index is designed to measure the performance of 80 high yield companies within the S&P 500 and is equally weighted to best represent the performance of this group, regardless of constituent size.

 

VYMはFTSE High Dividend Yield Indexに連動するよう組成されているETFデ時価総額加重平均なのでSPYDが連動を目標とする指数とは大きな違いがありますね。

 

均等荷重インデックスを図解

 

両者のセクター別の構成比率は以下のとおりとなっています。VYMはリートを組み入れていないのに対してSPYDはリートも組み入れているのが大きな差となっています。

また、SPYDは公益事業の比率が高くなっており、ここもVYMとの大きな相違点ですね。

 

セクター VYM SPYD
不動産 - 27.88%
金融 20.5% 19.72%
公益事業 6.8% 18.21%
生活必需品 11.0% 7.29%
エネルギー 10.4% 5.98%
ヘルスケア 11.8% 5.90%
素材 2.0% 5.44%
一般消費財・サービス 9.7% 4.47%
コミュニケーションサービス 4.1% 2.74%
情報技術 11.1% 1.27%
資本財 12.6% 1.11%

 

一方、VYMはテクノロジーセクターが多く集中している情報技術セクターにも11%を配分しているのに対して、SPYDはわずか1.27%の配分となっています。

総じてSPYDの方が重厚長大のオールドエコノミーの比率が高くなっています。

 

VYMとSPYDのリターンを比較

それでは肝心のリターンの比較を行なっていきます。参考までにS&P500指数に連動を目標とするVOOとも比べていきましょう。

以下はSPYDが運用開始となった2016年からの3つのETFの配当再投資後のリターンの比較です。

 

VOOとSPYDとVYMのパフォーマンスの比較

VOOSPYDVYMのパフォーマンスの比較

 

ご覧いただければわかるとおりリターンは「VOO > VYM > SPYD」という順番になっています。

データで比較すると以下のとおりとなります。リスクに対するリターンを表すシャープレシオはS&P500指数が圧倒しています。

 

VYM SPYD VOO
(S&P500指数連動)SPYD
年率リターン 10.92% 9.60% 14.28%
標準偏差 14.64 19.00 15.74
最も良かった年 26.21 32.80 31.35
最も悪かった年 ▲5.91 ▲11.54 ▲18.19
Sharp Ratio 0.66 0.49 0.82

 

VYMは最も悪かった年でも▲5.9%というところで、防御力の強さが際立ちますね。

 

VYMとSPYDの配当利回りを比較

VYMやSPYDに投資している方にとって重要なのは配当利回りかと思います。

両者の配当利回りは以下となっています。

 

VYM SPYD
配当利回り 3.40% 4.55%

 

配当利回りという意味ではSPYDの方に軍配があがっていますね。ちなみにS&P500指数に連動を目標とするVOOの配当利回りは1.46%となっています。

 

配当金生活を目指してVYMやSPYDへの投資をおすすめしない理由とは?

さて、ここまでVYMというETFの特徴と、SPYDへの比較を通じてパフォーマンスをお伝えしてきました。

では、VYMは配当金生活を目指した投資先として魅力的なのでしょうか?

結論からいうと配当金投資が可能な資産を構築した後であれば魅力的な選択肢ではありますが、配当金投資を目指した投資先としてはおすすめできません。

理由は2点あります。

 

配当金を拠出された段階で課税されてしまう

まず、米国のETFなので配当金を出した瞬間に日米で二重課税されてしまい手元には70%程度しか入ってきません。

確定申告で外国税額控除という処理を行えば外国税分は取り戻す頃が可能ですが、それでも20.315%の税金が課されてしまいます。

 

米国ETFの配当金は外国と国内で二重課税となる

 

配当金生活を可能とするためには得られた配当金も積極的に再投資していく必要がありますが、再投資する際に税金で大きく損してしまうのです。

そのため、高配当利回りというのは資産を増やしていく段階では魅力的な選択肢ではないのです。

 

そもそもリターンが低い

高配当利回りの銘柄に投資をしているということは、株式市場を牽引していくような銘柄には投資することができないということを意味します。

結果として先ほどお伝えしたように市場平均から劣後するような成績しか残せていません。

 

配当金生活を目指す段階においては、とにかく高いリターンを安定して狙えるような投資を実践していく必要があります。

特にまだ30代や40代のような現役世代は目先の配当金ではなく複利で資産を増やしていくことを最優先にして考えていきましょう。

以下ではVYMのような下落耐性を確保しながらも市場平均を圧倒的に上回る年利20%のリターンが期待できるファンドについてお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

 

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