2021年から進んだ円安は2024年4月に一時160円を示現しました。その後も底堅く推移しています。
皆さんの中には以下のように考えている方が多いのではないでしょうか?
- どこまで円安は進んでしまうのか?
- 一旦天井なのではないか?
今回はこのような疑問についてファンダメンタル側面からお伝えしていきたいと思います。
結論から申し上げると、筆者としては短期的にわずかな円高調整があるかもしれないが、中長期的にはドル円は200円を目指していくと考えています。
今回は上記のように考える根拠についてお伝えしていきたいと思います。
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Contents
今までのドル円の上昇は日米金利差の拡大によるもの
まず、今までのドル円の上昇の原因についてお伝えしてきます。
2021年からのドル円上昇の原因は以下を見ていただければ一目瞭然です。ドル円上昇のほとんどのお要因が日米金利差の拡大によって説明可能です。
パンデミックのバラマキと金融緩和によって発生したインフレに対応するために、米国は金利を急激に引き上げていきました。
一方、日本側ではインフレの立ち上がりが遅かったこともありマイナス金利を継続した結果、日米金利差が拡大していったのです。
保有して国債などに投資しているだけで金利が得られる通貨と、国債や預金金利がゼロの国の通貨であれば投機筋的には前者の方が魅力的ですよね。
つまり、円に対してドルが大きく変われていくという流れが出来上がっていったのです。
2024年に入ってからの円安の要因の一端は新NISA
2023年末まではドル円上昇の殆どの要因は日米金利差の拡大でした。
しかし、2024年に入ってからは日米金利差が拡大していないにも関わらずドル円の上昇が進行しています。
これは皆さんご存知の通り、新NISAの存在があります。
新NISAを契機として今まで投資を始めていなかった方が全世界株式や全米株式に投資をしていきました。
外国株に投資をするということは円を売ってドルなどの外貨にかえて、海外の株を購入するということです。
つまり、皆さんが外国株に投資をすればするほど、円売り需要が発生するということです。
日本円建で表示されている外国株投信も、表示が円なだけで実際はドルなどの外貨建資産なのです。
2024年に入ってから新NISAがブームとなっていることがドル円の上昇要因となっているのです。
短期的には米国の景気後退で円高調整となる可能性もある
ただ、短期的には140円台後半から150円台前半までの若干の円高になる可能性はあります。
それは米国で軽い景気後退に陥る可能性がでてきているからです。失業率はついに完全雇用といえるリミットに近い4%に達しています。
景気が弱くなると米国が金利を引き下げるので日米金利差が縮小して円高になっていきます。
ただ、インフレがまだ高い状態では、そこまで金利を下げることもできないので若干の円高調整になるかと思います。
中長期的には資本流出で円安が進んでいく
ドル円には長期的なトレンドがあります。金本位制が崩壊するまでドル円は360円の固定相場でした。
そこから東日本大震災の70円台後半まで円高がずっと進んでいきました。
しかし、そこからトレンドが今度は円安方向に変わってきています。
短期的には日米金利差が大きな役割を果たしますが中長期のトレンドを決定づけているのは資本流出です。
特に大きな影響を及ぼしているのが貿易収支です。
東日本大震災で原子力発電所を止めた影響で火力発電のウェイトが大きくなりエネルギーの輸入量が増大しました。
さらに世界的に資源の価格が上昇していくことも重なって貿易赤字に転じてしまっているのです。
近年では貿易収支とともにサービス収支の赤字も顕著となっており、資本流出が加速しています。
日本の経常収支を支えているのは所得収支ですが、所得収支は再投資される傾向が強く円転需要が発生しにくいので円高にもっていく力は非常に弱いのです。
結果的に貿易収支とサービス収支の赤字により資本流出の金額の方が大きくなりドル円は円安方向の潮流に変化してきているのです。
中長期的にもてドル円が200円を突破する時代がくる確度は高いといえるでしょう。
円安から資産を守る方法とは?
さて、ここまで円安が進んでいく理由についてお伝えしてきました。では、この進んでいく円安からどのように身を守っていけばよいでしょうか?
この点について詳しくお伝えしていきます。
シンプルにFXでドル円を買う
まず、シンプルにドル円をFXで買うという対策が挙げられます。
FXの金利は外貨建MMFよりも高く更にレバレッジもかけることができます。
ドル円の上昇というのは、あくまで「ドルに対して円が安くなっている」という相対的な話でしかありません。
ただ、そもそもドル自体も急激に安くなっていっているのです。以下はドルの流通量を示すM2の推移です。
急激に流通量が上昇しているので、ドル自体の価値も大きく下落しているのです。ニクソンショック以降、ドルと金が交換できなくなり通貨の増発が歯止めが効かなくなっているのです。
そのため、円を売ってドルを購入するだけでは資産を守るのには不十分です。
FXはレバレッジをかけることができるのでドルの減価も賄うことができるという点において非常に有用なツールです。
ただ、当然レバレッジをかけすぎるのはリスクが高いのでしっかりと資金管理を行うようにしましょう。
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資産運用の王道である株式投資を行う
資産運用の王道である株式市場ははずせませんね。
以下は歴史ある米国の株式市場ですが、以下の通り幾度ものショックを乗り越えながら右肩上がりで増加しています。
米ドルの量が増えてインフレしたとしても、物価自体も上昇していくので企業の業績も上昇していきます。
そのため、株価も上昇していくので中長期的にみるとインフレヘッジ資産になっているのです。
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不動産投資を行う
不動産投資も株式投資と双璧をなす投資先ですね。通貨の価値が落ちたとしても、土地の価値が落ちるわけではありません。
通貨の価値が落ちるにしたがって、金額ベースでの土地は当然上昇していきます。
以下はTOPIXと東証株価指数の推移ですが互角の動きとなっています。直近株価がオーバーシュートしていますが長期でみると誤差です。
しかも、上記はあくまでリートのリターンなので実物不動産に投資を行ったり、不動産クラウドファンディングを行ったり、不動産ファンドに投資をすることで更に高いリターンが見込めます。
不動産の特徴は実需があるので、リーマンショックのような経済ショックが発生した時に価格下落を抑制することができることです。
以下は住宅用不動産の価格推移ですが、株式が50%以上下落したリーマンショックに比べて住宅用不動産は10%しか下落していません。
インフレをヘッジしながら資産を構築していきたいのであれば、筆者としては不動産がおすすめの選択肢となります。
デジタルゴールドとなっている「仮想通貨」も選択肢に
また、シンプルに金を保有するという手も有効なインフレヘッジではありますが、近年はデジタルゴールドとも言われるビットコインをはじめとした仮想通貨も有力な選択肢です。
ビットコインは発行できる量に2100万枚という上限が設けられています。
そのため、発行量に限界がない現金に比べて価値の保存がされやすいという特徴があります。
ポートフォリオの10%程度仮想通貨を保有しておくことはインフレヘッジの手段として非常に有効な手段であるといえるでしょう。
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まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
- 円安が進んでいるのは日米金利差が拡大しいてるから
- 2024年に入ってからは新NISAの影響が大きくなっている
- 短期的には少しだけ円高調整するリスクはあるが140円台が精一杯か
- 貿易赤字の営業で累積的に円安が今後も進行していきドル円は200円を目指していくと想定される
- FXや株式や不動産や仮想通貨を用いてインフレヘッジを行おう